もう名前がすごいですね、『大国主命(おおくにぬしのみこと)』。
読んで字のごとく、日本の国を築き上げた人だという賛辞がそのまま名前になっています。
これは後で説明しますが、スサノオから授けられた神名です。
このオオクニヌシにはほかにも多くの名前があり、葦原色許男(アシハラシコオ)、大穴牟遅(オオナムチ)、八千矛(ヤチホコ)、宇都志国玉(ウツシクニタマ)と。
どうやらオオナムチが本名のようです。
『古事記』ではスサノオの七世の直系の子孫だと書かれていますが、『日本書紀』ではスサノオの子どもだといっています。
しかし、少し読み進めると、スサノオの娘と恋に落ちる話しがあるあたり、時系列もめちゃくちゃですし(黄泉の国は時間は関係ないのでしょうか?)このあたりの系図もいまいち信用できなくなってきますね。
一般にはスサノオとは血のつながりはないとみています。
今日は、オオクニヌシのお話し。
イジメられっこが、世紀のプレイボーイになるまでをお送りします(笑)
『古事記』ではオオクニヌシの話を、このオオナムチの呼び方で始めます。
このオオナムチの段でまず有名な話しが『因幡の白ウサギ』ですね。
オオナムチ、兄弟にひどいいじめを受けていました。学校の帰りに小学生がランドセルをひとりにもたせているかのごとく、兄たちは荷物をオオナムチに背負わせ、名の通った因幡の美人に会いに行った時、とおりがかりに白ウサギをだまして、ひどい目にあわせていたのです。それを治してあげたオオナムチ。優しさアピールがよかったのか、ウサギの予言を受け、その美人のヤカミヒメをゲットしたのはオオナムチでした。
面白くない兄たちは、殺害計画を企てます。
真っ赤に焼いた大きな岩をぶつけて焼き殺したり(でも生き返る)、大木の割れ目にオオナムチを呼び込んで楔(くさび)をはずし、はさみ殺したり(また生き返る)、本気で殺してくるのですからたまったものではありません。その度に助けられて生き返るのですが、これではいかんと黄泉の国のスサノオの元にいくように、樹木の神にアドバイスを受けます。
そして黄泉の国に着いたのはよいのですが…。
黄泉の国の帝王になっていたスサノオは、自分の娘のスセリビメがどこの馬の骨とも分からぬ男が気に入って、いい雰囲気になっているのを感じ取り、面白くなかったのでしょう。
葦原色許男(アシハラシコオ)と呼びつけます。
このシコオの意味をwikipediaでは強い男のこと、とありますが、原田常治氏の説では、「うんち男」くらいの意味だったと記憶しています(笑)。また確認します。違ってたら後日訂正。(いい加減)
でもこの方が意味は通りますよね。頭に来てるんですから。
そしてかくまってもらうつもりで来た黄泉の国で、結局オオナムチは殺されそうになります。
スサノオのとんでもない注文をスセリビメにたすけてもらいながらクリアし、そして黄泉の国からなんとか逃げ、最後にはスサノオに認めてもらいました……♡
が!
はじめにゲットしたヤカミヒメは、スセリビメを恐れ、子どもを木の股にはさんで置いて、実家に帰ってしまいます。
ここからオオナムチ、こりもせずにプレイボーイ魂、発揮です!
越の国のヌナカワヒメにラブコールを送り結ばれます。
しかし『古事記』とは越の国では、ヌナカワヒメは悲劇の伝説として伝わっています。
一旦はオオクニヌシと能登へと参ったが、何があったのかただひとり越の国に戻り、水に入って自害したとか。オオクニヌシとはどうやらうまくいかなかったようです。
この後も、タギリヒメ(宗像三神のひとり)、カムヤタテヒメ、ヤシマムヂの娘のトリトリ…と、まあ、女性の名前が出てくる出てくる。
彼女たちが生んだ子供の名前を見ますと、結構な有名どころの名前が並んでいます。
アジスキタカヒコネ、下照姫、事代主(ことしろぬし)等々。さすがというか、なんというか。
そんなこんなで、オオクニヌシ命は、現在の『出雲大社』の御祭神で有名ですが、縁の神というのも、たくさんの奥さんがいたからでしょうか?
男性のみなさんプレイボーイもほどほどにね。
本日はここまで。
次回は『国譲り』のお話し。
はしあきでした♪